【確定申告】特定口座(源泉徴収あり)でも申告すべき5つのケース!
証券会社の口座を「特定口座(源泉徴収あり)」にしているから自分は確定申告とは関係ない。。。
そう考えて確定申告をしていない方も多いのではないでしょうか。
でもちょっと待ってください。
確定申告をしたほうがいい場合もあるのです。
この記事では確定申告をしたほうが得する次の5つのケース
1.還付申告できる所得控除があるケース
2.株式の譲渡損失があるケース(配当所得との損益通算ができる)
3.株式の譲渡損失があるケース(損失の繰り越しができる)
4.株式の譲渡損失があるケース(別の口座と損益通算ができる)
5.配当を総合課税にしたほうがお得なケース
以上について解説します。
特定口座(源泉徴収あり)について
特定口座制度では、その口座内の上場株式等の譲渡所得を一般口座と区分して証券会社が計算してくれます。
計算結果は「特定口座年間取引報告書」として発行されます。
源泉徴収することを選択すれば、その特定口座での上場株式等の譲渡所得は確定申告が不要となります。
もちろん口座内の譲渡利益と譲渡損失を通算して計算してくれます。
もし口座に損失がでた場合、その口座への配当の受け入れを選択していれば配当から源泉徴収された税金が損益通算により戻ってきます。
源泉徴収を選択すると住民税も含めて納税が完了しますので翌年の住民税で支払う必要はありません。
確定申告をするとお得な5つのケース
1.還付申告できる所得控除があるケース
医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除などの申告をわすれていませんか?
会社で年末調整をしていても自分で申告をしないと控除されない所得控除がないかをもういちど確認しましょう。
年末調整がないかたは、配偶者控除などについても忘れないようにしましょう。
また、所得が比較的すくない方は所得控除をうけた結果、所得を上まわる所得控除となる場合があります。
その方に株式等の譲渡所得(申告分離課税)があった場合、控除しきれなかった分でその所得も相殺してくれます。
ただし、分離課税の損失を総合課税の所得から控除するということはありませんのでご注意ください。
2.株式の譲渡損失があるケース(配当所得との損益通算)
特定口座(源泉徴収あり)ですでに配当等の受け入れを設定していれば譲渡損失との損益通算をしてくれます。
もし受け入れの設定をしていない場合は確定申告をすることで譲渡損失と配当等の所得を損益通算できます。
損益通算することで配当から源泉徴収された税金が戻ります。
3.株式の譲渡損失があるケース(損失の繰り越し)
特定口座(源泉徴収あり)が最終的に損失となった場合にむこう3年間その損失を繰り越すことができます。
翌年、特定口座で利益が出た場合には繰り越した損失と相殺ができます。
それでも損失が残る場合はさらに翌年に繰り越すことができます。
最終的に3年間繰り越すことができます。
また、確定申告をおこなっていなければ過去3年までさかのぼって損失の繰り越しを申告することができます。
4.株式の譲渡損失があるケース(別の口座と損益通算)
A証券の特定口座(源泉徴収あり)では最終的に損失がでたとします。
いっぽうB証券の特定口座(源泉徴収あり)で利益が出ている場合はこの利益をA証券の損失と通算することができます。
その結果、B証券で源泉された税金の一部が戻ってきます。
また一般口座で購入した株式はその後証券口座を特定口座に変更しても一般口座として管理されています。
したがってその株式を売却して得た譲渡益は一般口座として扱われ、申告も自分で行う必要があります。
もし特定口座(源泉徴収あり)に損失があれば、この一般口座の譲渡益と損益通算することができます。
一般口座に損失があって特定口座(源泉徴収あり)に譲渡益があれば、これも損益通算することができます。
5.配当を総合課税にしたほうがお得なケース
所得が低く累進課税の最高税率が低い場合は配当を総合課税としたほうが有利な場合があります。
たとえば所得が年間1,949千円までは所得税率は5%、3,299千円までは10%。
ここで言う所得は所得控除後の課税所得のことで収入とは異なります。
配当や利子は所得税および復興特別所得税で15.315%、住民税5%が源泉徴収されています。
そのまま納税済みとしてもいいのですが、このケースの場合は配当所得を総合課税にすれば税率は5%や10%ですみます。
ただし翌年の住民税に配当所得の10%が住民税としてかかってきます。
しかし配当を総合課税とした場合は配当控除としてその10%が税額控除されますので結果的に住民税分は相殺されます。
国税庁の確定申告書作成コーナーで還付される金額と新たに支払う金額を試算してみることをお勧めします。
特定口座(源泉徴収なし)のメリット
ところで特定口座(源泉徴収なし)にしているメリットはあるのでしょうか。
もし特定口座の譲渡所得が20万以内なら確定申告義務はないので申告しないという選択肢があります。
源泉徴収口座では20万以内でも課税されてしまいます。
確定申告をする場合も、「特定口座年間取引報告書」は証券会社が作成してくれますので申告はこの帳票をつかって問題なくできます。
また税務署に行かなくてもe-Taxをつかってインターネットで申告を行なうこともできます。
その意味で医療費控除やふるさと納税など所得控除の申告を毎年するひとは源泉徴収なしの口座とするメリットがあります。
最後に
特定口座ではない取引に注意!
証券口座を特定口座(源泉徴収あり)にしているからといってその証券会社の取引きがすべて特定口座(源泉徴収あり)というわけではありません。
特定口座は上場株式の譲渡所得が対象となる制度ですので先物取引、オプション取引、FX取引等は対象外です。
これら先物取引、オプション取引、FX取引等は分離課税の雑所得で、そのなかで損益通算ができます。
損益通算の結果20万円以上の利益が出ていれば確定申告することを考えなければなりません。
また仮想通貨関連の所得は総合課税の雑所得ですので、同じ雑所得でも源泉分離課税の雑所得とは損益通算はできません。
このように特定口座(源泉徴収あり)に該当する取引かどうかをよく確認し、該当しない場合は必要に応じて申告をしてください。
申告義務があるケースの確認
最後に、念のため、確定申告が必要な一般的なケースを列挙します。
・給与や年金以外の副収入で20万円以上の所得があった場合
・給与も年金もない場合は38万円を超える収入がある場合
・2000万円以上の給与収入、400万円以上の年金収入がある場合
・2つ以上の会社から給与をもらっている場合
よく確認して必要な申告をわすれないように注意しましょう。
株やFXの確定申告についてはこちらの記事をご覧ください。↓