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【オーバーしない】ふるさと納税の寄附金の上限!!【仕組みを知る】

上限金額の計算イメージ

ふるさと納税をしたいけど、いくらまで寄附できるのか知りたい。。。

そんなかたはふるさと納税サイトで上限金額のシミュレーションができます。

上限金額を超えてしまうと超えた分はすべて本当の寄附になってしまい戻っては来ません。

シミュレーションで試算してから金額に余裕をもってやるというのが基本です。

でもシミュレーションしただけでは何がどうなっているのかさっぱりわかりません。

そこでこの記事では

・ふるさと納税の寄附金上限の仕組み
・上限金額を計算するための計算式
・所得控除額を計算して課税所得額を求める

以上についてわかりやすく解説していきます。

コインチェック

ふるさと納税の寄附金上限の仕組み

ふるさと納税はがんばっている地方自治体を寄附で応援しよう!というのが制度の趣旨です。

でも、寄附といっても最終的な寄附額(自己負担額)は2000円だけです。

それ以上の金額については自分が住んでいる自治体から住民税が減額されるかたちで翌年にもどってきます

そのためには確定申告をするか寄附する先が5つの自治体までの場合は「ワンストップ特例制度」で申告します。

ふるさと納税の寄附金がもどってくるルートは2つあります。

所得税ルートで寄附金がもどる

ひとつは所得税(国税)がもどってくるルートです。

所得から(寄附金―2000円)の金額を控除(所得控除)して税金を再計算します。

そうすると(寄附金―2000円)x所得税率分が減ることになりその分が還付されます。

ここでの所得税率は復興特別所得税を含みますので所得税最高税率x1.021となります。

ただし、「ワンストップ特例制度」で申告した場合はこの所得税部分はなくなりすべて次の住民税ルートになります。

住民税ルートで寄附金がもどる

もうひとつは住民税(地方税)の所得割額が減額されるルートです。

住民税には所得の10%をおさめる所得割額と定額をおさめる均等割額がありますがここでは所得割額が関係してきます。

所得割額からは(寄附金額か総所得金額の30%かいずれか低い額―2000円)の10%が基本控除として減額されます。

これは税額から直接さし引く税額控除のかたちです。

さらに残りの90%から所得税で還付された分を除いた分が特例控除として減額されます。これも税額控除のかたちです。

ただし、この特例控除には条件があります。

税額控除をする前の所得割額の2割までとなっています。ふるさと納税の寄付額に上限がでてくるのはこれが主な原因です。

ふるさと納税の寄付金額の上限計算

上限寄附金額の計算式

ふるさと納税の寄附金のうち2000円を除いてすべてもどってくるための寄附金の上限金額の計算式を考えてみます。

住民税の寄附金税額控除のうち特例控除の計算式は次の式になります。

(寄付金額―2000円)x(90%ー所得税率)=特例控除額

ここで特例控除額が上限に達する場合を考えると、特例控除額の上限=所得割額x0.2ですから、

(上限寄付金額―2000円)x(90%ー所得税率)=所得割額x0.2

となります。

ここから、

上限寄付金額=(所得割額x0.2)÷(90%-所得税率)+2000円

となります。

つまり住民税の所得割額所得税の税率がわかれば計算が可能です。

そのためには所得税住民税課税所得額を出せばよいことになります。

上限金額を導くための課税所得額の出し方

給与所得者の場合を想定して今年の所得税来年の住民税課税所得額のだしかたを考えます。

まず前年の源泉徴収票を手元に用意してください。「支払金額」が前年の「給与収入金額」です。

これを参考にして今年の「給与収入額」を想定します。

毎年の収入に増減がある場合は少なめに見積もる必要があります。

また、下の表から「給与所得控除額」を計算して下の式で「給与所得額」を出します。

「給与収入金額」ー「給与所得控除額」=「給与所得額」

※収入が660万円未満の場合は実際の給与所得の算出はこれとは別の「所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)」で計算されますので若干差異が出ます。

収入金額 給与所得控除額
1,800,000円以下 年収x40%(65万円に満たない場合は65万円)
1,800,000円超3,600,000円以下 年収x30%+180,000円
3,600,000円超6,600,000円以下 年収x20%+540,000円
6,600,000超10,000,000円以下 年収x10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円

 

「給与所得額」が出たら下の式で「課税所得額」を出します。

「給与所得額」-「所得控除額」=「課税所得額」

所得控除額の合計を計算する

「所得控除額」については該当するものについて合計額を出す必要があります。

所得税住民税では金額が違うものもありますので別々に計算します。

ここでは主だった所得控除を取り上げます。ご自分と関係のない所得控除は読み飛ばしてください。

災害等の損失を受けた場合の雑損控除や障害者控除、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除、小規模企業共済等掛金控除等は割愛しています。

↓関係するとおもわれるかたは国税庁のホームページを参照してみてください。

http://www.nta.go.jp/

 

①配偶者控除

所得税については配偶者控除は納税者本人の所得が1000万円以下で生計を一にする配偶者の年間の合計所得が38万円以下のときに受けられます。

控除を受ける本人の所得 一般の控除対象配偶者(12月31日現在70歳未満)の控除額 老人控除対象配偶者(12月31日現在70歳以上)の控除額
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1000万円以下 13万円 16万円

住民税については控除を受ける本人の所得に関係なく生計を一にする配偶者の前年所得が38万円以下のときに一般の控除対象配偶者33万円、老人控除対象配偶者38万円となります。

②配偶者特別控除

所得税については配偶者控除をうけられない場合でも、納税者本人の所得が1000万円以下で生計を一にする配偶者の年間の合計所得が123万円以下のときには配偶者特別控除を受けられます。

配偶者の所得 本人の所得900万円以下の控除額 本人の所得900万円超950万円以下の控除額 本人の所得950万円超1000万円以下の控除額
38万円超85万円以下 38万円 26万円 13万円
85万円超90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円超95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円超100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円超105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円超110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円超115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円超120万円以下 6万円 4万円 2万円
120万円超123万円以下 3万円 2万円 1万円

なお、給与収入しかない場合は給与収入から給与所得控除額を差し引いて所得を出します。(最初の表を参照してください)

住民税については配偶者控除をうけられない場合でも、納税者本人の前年所得が1000万円以下で生計を一にする配偶者の前年所得が76万円未満のときには配偶者特別控除を受けられます。

配偶者の前年所得 控除額
38万円超45万円未満 33万円
45万円超50万円未満 31万円
50万円超55万円未満 26万円
55万円超60万円未満 21万円
60万円超65万円未満 16万円
65万円超70万円未満 11万円
70万円超75万円未満 6万円
75万円超76万円未満 3万円

 

③扶養控除

所得税については扶養している親族がいる場合は一定の要件(生計を一にしている、所得が38万円以下など)にあてはまれば以下の扶養控除がうけられます。

年齢はその年の12月31日時点の年齢になります。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満) 38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満) 63万円
老人扶養親族(70歳以上)同居老親等以外 48万円
老人扶養親族(70歳以上)同居老親等 58万円

住民税については扶養している親族がいる場合は一定の要件(生計を一にしている、前年所得が38万円以下など)にあてはまれば以下の扶養控除がうけられます。

年齢はその年の1月1日時点の年齢になります。

扶養親族の年齢 控除額
16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満 33万円
19歳以上23歳未満 45万円
70歳以上 38万円
70歳以上、本人又は配偶者の直系尊属、同居 45万円

④社会保険料控除

対象となるのは、健康保険、国民健康保険、介護保険、国民年金、国民年金基金、厚生年金、厚生年金基金、後期高齢者医療保険、などです。

自分の社会保険料はもちろん、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を払った場合も控除の対象となります。

控除額は払った金額をそのまま全額所得から控除してもらえます。

⑤生命保険料控除

生命保険料控除は保険料がそのまま所得から控除されるわけではなく、一定の計算式で控除額を計算します。

控除額の計算は平成24年1月1日以前の契約とそれ以降の契約とであつかいが異なります。

平成24年1月1日以前を旧契約、以降を新契約とよびます。

旧契約は大きく

「旧生命保険料控除(遺族補償、介護保障、医療保障)」

「旧個人年金保険料控除(老後保障)」

の2つにわかれます。

所得税についてはそれぞれの保険料について下記の所得控除がみとめられます。

旧契約だけの場合は2つの控除で最高10万円まで控除がみとめられます。

旧契約の年間支払い保険料 控除額
2万5千円以下 支払金額
2万5千円超5万円以下 支払金額×1/2+1万2500円
5万円超10万円以下 支払金額×1/4+2万5千円
10万円超 5万円

住民税についてはそれぞれの保険料について下記の所得控除がみとめられます。

旧契約だけの場合は2つの控除で最高7万円まで控除がみとめられます。

旧契約の年間支払い保険料 控除額
1万5千円以下 支払金額
1万5千円超4万円以下 支払金額×1/2+7500円
4万円超7万円以下 支払金額×1/4+1万7500円
7万円超 3万5千円

 

新契約は「旧生命保険料(遺族補償、介護保障、医療保障)」を2つに分割したことで3つにわかれました。

「新生命保険料控除(遺族補償)」

「介護医療保険料控除(介護保障、医療保障)」

「新個人年金保険料控除(老後保障)」

所得税についてはそれぞれの保険料について最高4万円まで所得控除がみとめられます。

新契約だけの場合は3つの控除で最高12万円まで控除がみとめられます。

旧契約の年間支払い保険料 控除額
2万円以下 支払金額
2万円超4万円以下 支払金額×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払金額×1/4+2万円
8万円超 4万円

住民税についてはそれぞれの保険料について下記の所得控除がみとめられます。

旧契約だけの場合は2つの控除で最高8万4千円まで控除がみとめられます。

旧契約の年間支払い保険料 控除額
1万2千円以下 支払金額
1万2千円超3万2千円以下 支払金額×1/2+6千円
3万2千円超5万6千円以下 支払金額×1/4+1万4千円
5万6千円超 2万8千円

 

新契約か旧契約かは年末に届く「生命保険料控除証明書」に新旧契約の表示があるのでわかります。

新旧双方の契約に加入しているばあいは、あえて旧契約のみ控除の適用をうけるほうが有利になる場合もあります。

新旧あわせて生命保険料控除額の上限は所得税が12万円住民税が7万円となります。

なお、保険期間が5年未満の生命保険などのなかには控除対象とならないものもあります。

⑥地震保険料控除

地震保険旧長期損害保険が対象となります。

かつては広範な損害保険が控除の対象でしたが平成19年以降は一部の契約を経過措置として残してあとは対象外となりました。

一部の契約とは平成18年12月31日以前に開始した積立型障害保険などで契約期間10年以上、満期返戻金があるタイプのものです。

これを旧長期損害保険と呼びます。

所得税の所得控除額は以下のようになります。

区分 控除額
地震保険料(年間5万円以下) 支払金額
地震保険料(年間5万円超) 5万円
旧長期損害保険料(1万円以下) 支払金額
旧長期損害保険料(1万円超2万円以下) 支払金額×1/2+5千円
旧長期損害保険料(2万円超) 1万5千円

 

住民税の所得控除額は以下のようになります。

区分 控除額
地震保険料(年間5万円以下) 支払金額×1/2
地震保険料(年間5万円超) 2万5千円
旧長期損害保険料(5千円以下) 支払金額
旧長期損害保険料(5千円超1万5千円以下) 支払金額×1/2+2500円
旧長期損害保険料(1万5千円超) 1万円

地震保険と旧長期損害保険の両方の契約がある場合は控除額の合計額の上限は所得税が5万円住民税が2万5千円となります

⑦医療費控除

1年間に支払った医療費が10万円または所得金額の5%のどちらか少ない額を超えた場合に、超えた金額について所得控除が認められます。

控除の最高額は200万円です。

自分の医療費はもちろんですが、生計を一にする家族のために支払った費用も対象となります。

たとえばすでに就職していて扶養家族ではない子供の医療費を支払った場合も同居していれば対象となります。

医療費とは、

・診療や治療のための費用
・治療に必要な薬の費用
・通院のための費用
・入院のための費用

などがこれにあたります。

・健康診断の費用

・美容整形の費用

・通院費のうちタクシー代(公共交通機関がつかえない場合を除く)

などは対象外となります。

判定のポイントは「予防」のためではなく「治療」のためであることです。

また医療保険や健康保険から治療に関連する給付をうけたばあいは、その対象となった医療費からさし引く必要があります

 

⑧寄附金控除

ふるさと納税の場合は確定申告することで所得税寄附金控除(所得控除)住民税寄附金税額控除をうけられます。

「ワンストップ特例制度」で申告した場合はすべて住民税の寄附金税額控除になります。

ここではふるさと納税の寄附金上限額を計算するために課税所得が必要になります。

そのため所得税の寄附金控除額(所得控除額)を計算に加えます

所得税の所得控除額は(寄附金額ー2000円)となります。

⑨基礎控除

最後にすべての人に適用される基礎控除を計算に加えます。

所得税は38万円住民税は33万円になります。

課税所得額を計算する

①~⑨の所得控除のうち該当するものを合計して所得税と住民税のそれぞれの所得控除額を出します。

それをもとに下の式から所得税と住民税のそれぞれの課税所得額を計算します。

「給与所得額」-「所得控除額」=「課税所得額」

所得税の課税所得額が出たところで所得税の税額表にあてはめて最高税率を出します。

課税所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10%
330万円超695万円以下 20%
695万円超900万円以下 23%
900万円超1800万円以下 33%
1800万円超4000万円以下 40%
4000万円超 45%

この表から求めた最高税率に復興特別所得税分2.1%を加算した「最高税率x1.021」が求める所得税率です。

また「住民税の課税所得額x0.1」が求める所得割額です。

これを下の式に代入すれば上限寄附金額の計算が完了です。

上限寄付金額=(所得割額x0.2)÷(90%-所得税率)+2000円

ふるさと納税で寄附金額をオーバーしないために

今年の所得が確定していない、住民税の税額控除で税金が戻るのは来年。

今年の所得控除額も不確定要素が多い。

たとえば医療費の増加により来年の医療費控除額が増えると所得割額が減って上限額が下がります。

でもそれは誰にも予測できません。

このような条件では今回の試算結果やふるさと納税サイトでのシミュレーション結果は概算と考えて余裕をみて寄附をするようにしましょう。

また、翌年6月に住民税が確定した時点で寄附金控除の金額を確認するようにしましょう。

それでも最終的に寄付額が上限をこえてしまうこともあります。そのときはふるさと納税の精神に立ち返り前向きに考えましょう。

 

ふるさと納税の大まかな内容はこちらの記事をご覧ください。

ふるさと納税のイメージ画像
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ふるさと納税の確定申告はこちらの記事をご覧ください。

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